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あたしはさらに後退りを試みるも、狭い控え室にもう余裕なんて、ナイ。 なんとか意を決して口を開いてみる。 「な、な、なんでしょか?」 「蜜、顔引きつってる」 冷静に答えながら、しかも薄く笑う悪魔にあたしは恐怖すら感じた。 「人間の心理、逃げられると、追いかけたくなる」 知ってる? と、付け加えて。 もはや獲物を捕らえたかのような視線にあたしは凍りついた。 「…あ、…」 言い訳を考える時間すら無くて。 「残念」 若先生…、という名の悪魔はニヤリと笑んであたしのすぐ目の前に立ちはだかった。 「…っ」
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