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そこを吸い上げられて、ごく自然に離れていく。
抵抗すら出来なくて、見上げた顔に浮かんでいたのはいつもの笑み。
「眼、潤んでる」
まっすぐに見つめてくる若先生。
「悪いけど、泣いても止めてやんねぇよ?」
「ちっとも理由がわかりません。ただのセクハラです」
やっとの事で絞り出したあたしの声は少し震えていた。
若先生は楽しそうに笑った。
「あ、涼先生が笑ってる!」
不意に聞こえてきたそれはかわいらしいものだった。
いつの間にか帰ってきた大武先生の横にはショートカットのよく似合う可愛らしい女の人。
「ホントに来たんだな、環」
若先生がそう言うと、大武先生は携帯をヒラヒラさせていて。
「駅まで来いって」
あぁ、だから大武先生は携帯を持って出て行ったんだ。
「涼先生、こちらの方は?」
クリクリした目があたしをまじまじと見つめる。
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