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空振りしたあたしを見て意地悪く眼を細めた若先生は、唇の端をあげながらこう言った。 「着いて来いよ」 あたしの財布をダウンのポケットに仕舞い込んで、左方向に歩きだす。 「……」 家と反対方向じゃん。 足取りが重く、しぶしぶ後ろを着いて行く。 前を歩く若先生。 スラリとした後ろ姿はモテる要素満載なのに。 「どうして?」 ゲイなんだろう。 やっぱり首をかしげるばかり。 女は無理=男ならOK、って事なんだよね。 若先生は……、男役なのかなぁ。 どうしてもソコに行きつくわけで。 聞いてみたいけど聞けなくて 聞いたところで教えてくれないかもだけど。 色々考えながら歩いていて、余程遅かったのか急に右手をグッと引かれた。 「トロい」 あたしはこのまま連行される。 驚くばかりの高い、高い、タワーの天辺へ。
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