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突き刺さった視線に身体中の血が沸騰するのを感じる。 あたしの心臓はその瞬間に全身の毛細血管全て拡張させて血液を送り込み、これでもかというくらい体温を上げた。 「お、沸いてる」 からかうように眼を細めて口の端を上げる。 あたしだって、この歳になればそんな事を理解出来るだけの経験も備わってる。 と、思う…。 心臓、どうしたの、静まれ心臓。 胸元をギュッと掴んで息を吐いた。 妖しく笑う若先生は、怖くて危険。 カッコいいとか、そういう言葉で片付けられない。 蛇に睨まれた蛙、という諺通り、あたしは若先生の視線に刺されたまま動けずにいた。 「ま、そんな力むなよ」 そう言うと今度はケラケラっと笑う。 「オレ、基本女、無理だから」 「……っ!」 そうだった。 若先生は男の人が、大武先生が好きなんだった。 そう思ったとたん、大きく吐き出した溜め息。 女が無理、って事は、そっちの方も男相手なんだろうか。
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