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絡む視線に切なさを覗かせているのはあたしだけ? 瞳が揺れたように見えたのはあたしが揺れてるから? 突然離れた戸惑いを隠せずにいるあたしに低く響く音。 「物足りない?」 さっきとは違う強く、妖しい視線。 ちょっとでも抗えば取り込まれてしまいそうにも感じる。 「……送ってく」 若先生はポツリと呟いてあたしから離れた。 まるで、何事もなかったかのように 浮かされたのは、あたしだけ あたしはジャケットを着て、鞄を肩にかけた。 この気持ちは何か モヤッとしたカタマリ つっかえて飲み込めずにいる、カタマリ。 気になってない訳はない。 こんな事されたら気にならずにはいられない。 非日常的な事象から起きる興奮状態を恋や愛と錯覚してるんだ。 相手は男が好きな男。 ダウンを着込んだ若先生に続いて部屋を出た時には日付が変わっていた。
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