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「ま、繁盛するにこしたことはないけどね」
美紀さんはコンピューターに向かいながら笑った。
美紀さんはあたしの二つ年上でもう長くお付き合いをしてる彼がいる。
話に聞いてると結婚の話も出ていたりするのだとか。
結婚。
あんまりピンとこないけど、ずっと一緒にいる事になるヒトなんて、どういう感じなんだろ。
「お大事に」
診察券と処方箋を渡しながらニコリと笑った。
あたしは結婚に結び付くような恋愛は出来ないんだろうな。
自分の今までの付き合いを振り返って、ふと、そう思った。
それなりにうまくやっていた事もある。
もちろん、色んな経験もした。
だけど、結婚したい、とか
ずっと一緒にいたい、とか
考えた事が無い。
今だって、大武先生は高嶺の花だし。
「…………」
やめ、やめた、やめ!
こんなウジウジ考えるのはらしくない。
思考が暗くなると人生まで暗くなるでしょ。
嫌と言うほど体験もしたじゃない。
音が鳴りそうなほど、ブンブンと大きくかぶりを振って仕事に集中した。
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