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今日は案外早く片付いたなぁ、なんて呑気な事を考えながら日報を書いてゆく。
「あ、美紀さんそろそろあがってくださいね」
あたしに促され、そうだね、と時計を見ながら頷く。
火曜と金曜の午後は定時では帰れない。
曜日を決めて定時上がりできるように決めていた。
「お疲れ様でしたー」
日報を書きあげてカウンターの上へ置き控え室へ向かう途中に呼び止められる。
「折原さん」
このテノールは間違いなく大武先生。
「お疲れ様でした」
振り返るとニコリと微笑む顔。
「家に帰ったら、電話くれる?」
言われた意味が分からないままでいると、
「家に着いたら電話、この間の番号に電話して」
もう一度そう言われた。
「わ、かりました」
その時ふと、思い出す。
この間着信があった事を。
それだけ言うと大武先生はパタパタと戻って行った。
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