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階段を何段か登ったところで振り向いてみる。 まだ下にいる大武先生と目が合ったので手を振ってみた。 が、反応が何もなくて。 手を振るなんて、馴れ馴れしかったかと思い向き直ってまた階段を登り始めた。 その直後。 左肩にフワリと触れるヒトの気配。 軽く捕られた左肘。 「ねぇ、折原さん。 さっきの三日交際、考えてみて」 左を見上げて、そう呟いたテノールの音に心が揺れた。 呟いたそのヒトの真っ直ぐな眼に心臓も揺れた。
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