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火曜日の午後はまた、いつもとは違う色めき立った混雑。
第一診察室は今日も和やかな雰囲気に包まれる。
大武先生の悩殺スマイルのせいだ。
診察室に続く小窓にカルテを差し入れながら中の様子に耳を傾けていた。
「第一王子は相変わらず華やいでますよ」
受付カウンターで美紀さんに伝える。
第一王子、というのは大武先生の事。
「第二王子んとこは今日は本格的に忙しいよね」
そう。
11月も下旬、12月近くになってくると、風邪をひいた患者さんが本当に多くなる。
それに乾燥がキツくなってくると咳で困るヒトが増えるのだ。
「そうみたいですね」
第二王子はもちろん、若先生の事。
若先生とは、一昨日の朝の事件でまともに顔を合わせられないでいる。
あのキスの後、若先生は何事もなかったように部屋を出て行った。
あたしはしばらく動けずにいて、時間に気付いて慌てて部屋を飛び出した。
そして昨日も今日も午前中からかなりの患者さんが来たから、何かと忙しくしていてそれどころじゃなかった、っていうのもある。
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