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程無く携帯が震える。
「もしもし」
「外にいる、降りてきて」
もちろん、それだけで切れた通話。
何秒?
3秒くらい?
乾いた笑いを顔に張り付けて下に降りた。
こないだとは違う車に乗っていた若先生。
黒ぶちのメガネを掛けて少し高い位置からあたしを見下ろす。
「乗って」
開けられた運転席の窓から聞こえたその後ろのドアに手をかける。
「ワザワザ後ろに乗るんじゃねーよ」
一旦ドアから手を離し、クルリと向きを変えて助手席へ移動。
「失礼します」
と、乗り込んだあたしに見向きもせず、カチャリとシートベルトを締めた音が聞こえたのを合図に車は動き出した。
な、なんだかヤな感じ。
心の中で悪態をついて、窓の外に目をむけた。
メガネを掛けた若先生って、なんとなく新鮮で。
ちょっと違うヒトみたいで。
気恥ずかしくて、見られなかった。
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