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目を覚ますと微かに胡麻油の香り。
薄明かりで照らされた部屋で時計を探して、ベッドサイドのテーブルで見つけた数字は20:59。
「くじ、…」
柔らかな羽布団から抜け出そうと何か身に付ける物を探す。
サイドテーブルの足元にキルティングバッグ。
その上に綺麗に畳まれた、さっき確かに脱ぎ散らかしたあたしの洋服が置かれていた。
少し恥ずかしくなって急いで服を着る。
どうやらあたしはまた飛んでしまったらしい。
昨日もそうだった。
部屋の隅にキチンと畳まれた服を見つけて今みたいな恥ずかしさに襲われたんだ。
「何やってんだ、あたし」
口の中でごにょごにょと呟いて身支度を整えた。
少し開いた扉を出て明かりの指す方へと進む。
一歩出ると一層香りがきつくなった。
そしてあたしの空腹が刺激されて胃液の分泌が始まる。
リビングへ続く扉を開けて中へ入ると更に空腹レベルが上がった。
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