26/40
前へ
/40ページ
次へ
土曜日の今日。 吉川医院は、ドクター達が学会出席でお休み。 珍しく3連休だった。 あたしが目を覚ました頃には若先生は出掛ける準備が既に整っていて、あたしの傍まで来てひとつキスを落とした。 「後で連絡する」 そう囁いて眼を細めて微笑った(わらった)後、若先生は何事もなかったかのように、チェックアウトの説明をして先に部屋を出ていく。 11時迄に出ればいい、との事でシャワーを浴びて支度をする。 そこで初めて気付く、胸元と内股にいくつか貼り付けてあるマーク。 …なんだか、くすぐったいような、へんな気分。 恋なのか、愛なのか。 と、自問してみてもすぐに答えは出ないけど久しぶりに感じるフワフワドキドキはやっぱり何かそれに近いものがあるのは確か。 夕べ、若先生はあたしを好きだと言った。 覚悟もしろと言った。 それはどういう意味だったのか、いやいや、そういう意味として取っていいもんなのか。 付き合うって、どこからが定義なのかなぁ。 と、考えたのも束の間。 ラウンジで大きなクロワッサンを見た瞬間にキレイに吹き飛んだ。 ラウンジから見える朝の富士山はこれまた雄大でとても美しくて。 もう少しの間、セレブな気分を満喫しようと、心が踊っていた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2431人が本棚に入れています
本棚に追加