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F fitnessを出た後、突然空腹を感じる。 朝起きて、慌ただしく毎度のゼリー飲料をチャージしてきただけだった。 「車、出すから待って」 若先生が左に仕切り柱のある駐車スペースから車体を少し前に持ってきた。 「ありがとうございます」 乗り込むとうっすらと芳香。 小さめの洋楽が流れていてなんとも居心地のいい空間。 お腹さえ空いてなきゃなぁ。 「若先生、お腹空きました」 あたしは我慢できずにポツリと呟いた。 「そりゃあんだけ走れば減るだろうよ」 「そうですね。でもいっぱい走るの好きなんです」 お腹を擦りながら唇を尖らせる。 「ずっとやってんの?ラン」 若先生がそんな事を聞いてくるとは思わなかったから。 少しドキッとして若先生を見る。 黒ぶちの眼鏡をかけた端整な横顔。 「あ、勤め始めてからです。だから、5、6年くらいですかね」 「そこまで続けば趣味だわな」 笑いを含みながらそう言われたけど、ちっとも嫌味じゃなくて。 あたしが趣味だと答えたのを肯定された気がして逆に嬉しくなった。
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