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ふーん。 マシンを扱う姿も様になってるじゃない。 若先生って結構やってんだね。 綺麗な体つき。 アップを終えて、さぁ走ろうと、ランニングマシンに向かう。 その途中で信じられない事が起こった。 「…蜜?」 ウォークマンを片耳にはめて声の方へ振り返る。 どうして、こんな事が起こるんだろう。 神様がいるとしたら、最近、あたしに意地悪ばっかりしてるとしか思えない。 あ、大武先生の事はそうじゃなかったか――。 「やっぱり、蜜か」 そう言って、マシンからあたしの側に歩いてきた男。 出来れば一生涯会いたくなかったかもしれない。 顔を見るだけで虫酸が走るって、こういう事を言うんだろうなぁ。 「久しぶり、こんなとこで会うなんてな。 まだ、続けてたんだな」 やけに整った顔を意味もなく近づけてくる。 あたしは、込み上げる何かを必死に隠そうとして口をキュッと結んだまま立っていた。 正確に言うと、……動けずにいた。 その時、後ろから聞き慣れた低い音がして、あたしの呪縛を解き放つ。
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