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少しの間が過った後、中山治樹は表情を変えずに口を開いた。 「ああ、元気にしてる」 真っ直ぐにこちらを見て答えるその視線はそれ以上の詮索はするな、と釘を刺しているようで。 「そうですか、それはよかった。お子様もかわいい盛りでしょうね」 続けるあたしを見る中山治樹の視線がキツくなった。 「あぁ」 全くの無表情で頷く中山治樹にあたしは微笑んだ。 「では、失礼します」 会話をそこで断ち切ってクルリと若先生に向く。 「若先生、ちょうどいいところに」 そう言ってランニングマシンまで促して、更に続けた。 「これって何分まで走れるんですか?」 至って普通に、何の変鉄もない質問をする。 「は?」 「うちのジムは一回30分なんですよ。混むから」 「制限?ねーよ」 「無いんですか?スッゴい走れそう」 長い時間走り続けられるのはホントに楽しいので、なんだか嬉しくなってしまう。 「さっすが高級ジム、じゃ、走りまーす」 語尾があたしの気持ちを物語り、少し上がり口調に。 でも、この時隣で唇の端をクッとあげて細く笑う若先生が視界の端に見えた。 そのままその唇をあたしの右耳へ寄せる。
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