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「ふー」
スピードを落としてウォーキングをする。
一時間を越えて走ると、走った~、って気になってすごい満足。
ランニング中毒のようなもんだ。
満足な笑みを漏らしていると二つ左隣に若先生が現れた。
「そんなに走って、知らねぇよ。腰、立たなくなんぞ」
ククッと笑って走り始めたそのフォームはとてもキレイで。
さっき囁かれたセリフと見とれてしまった恥ずかしさが一気に襲ってくる。
パッと目を背けて黙々と歩く。
変わらず涼しい顔で走る続ける若先生に少しだけ名残惜しさを感じながらマシンから降りた。
汗で張り付くTシャツを着替えてまたフロアに戻る。
そういえば中山治樹はもういなくなっていた。
あたりまえか。
心の中で苦笑いしてまたトレーニングを始めた。
絶対に会いたくなかった。
会うことも無いだろうと思っていた。
本当に偶然、こんなところでバッタリなんて…。
若先生とは知り合いだったんだね。
N大に行ってるって言ってたもんね。
しかも年齢的にも同じくらいだろうし。
あたしが中山治樹を知ってるのもばれちゃったなぁ。
前に聞かれた事あったよね。
知りません、って答えたはず。
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