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「蜜さん、ビールでいい?」 「うん、ありがと」 力君とは基本的に歳が変わらない。 あたしがこのお店に顔を出すよるうになって4年、ずっと気軽にお話してきた飲み仲間のような関係。 その日も力君は仕事の合間に他愛もない話をしてくれた。 若先生の事で、別に激しく落ち込んだりはしていなかったものの、やっぱり塞がってたところがあったのかちょっと飲み過ぎたらしい。 力君にお酒を止められるまで気付かなかった。 「蜜さん、帰れなくなるよ」 ビールからどこをどうしたのかウィスキーに変わっていたグラスが下げられ、代わりに水の入ったグラスが置かれた。 「あ、そだね。のみ、すぎか」 「そんなに飲むの、久しぶりじゃない?」 「んー」 「ここに来たばっかりの頃はよく飲んでたけど」 「そうだっけ」 あたしは時計を見てグラスの水を飲み干した。 「えへへ、帰るね」 「そうした方がいい、バカかお前は」 突然、頭の上から降ってきた低い低い声。 アルコールでかなり機能の低下した能力でも、危険回避の本能がすぐに働いて。 それが誰のモノかなんて振り向かずに分かる。
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