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「わ、わかせんせ…」
ふわふわしたものが一気にすーっとさがっていく気がした。
血の気が引くっていうのはこんな感じなのかなぁ。
あ、違うな酔いが覚める、っていうのか。
まわりすぎたはずのアルコールがその効力を無くすまで時間はかからなかった。
「帰んぞ」
「…なぜ?」
首をかしげながら荷物の中から財布を探して、手元に持った時には既に会計は終わっていた。
「蜜さん、気をつけて」
力君が扉を開けてくれて見送ってくれた。
外の空気はきっと冷たいんだと思う。
でもあたしの体の中はとても熱かった。
酔いが覚めた、と言っても体の中に入っているアルコールがゼロになったというわけでない。
ただ体と心に与える影響が少なくなったというだけ。
引かれた手を離せずに
いや、正確に言うと何度か振ったり、ほどこうと試みたけれど離せずに暫く歩いて
突然立ち止まる。
あたしは勢いそのままに若先生の背中にぶち当たった。
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