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「そんな考えなきゃいけないか」 「ですよねー」 ふりかけのかかったご飯を掬って口に放り込んだ。 大好きなしっとりタラコ。 あんまり味わう間もなく喉を通っていく。 とにかく、あの時期の事は今更ながらに、トラウマ、とでも言うのが正しいかあたしのエネルギーを今でも激しく消費させる。 きっと、もっと強か(したたか)であればうまくどうにか出来たんだろう。 だけど、厄介な事にあの時は中山治樹の事が少なからず好きだった。 だから若さも手伝ってどこかの局に有りそうなお昼のドラマみたいになったんだなぁ。 「はぁー、痛い」 「わかった、もうわかった!」 痛い、痛いと呟くあたしをイタイと思ったんだろうか美紀さんはスッパリと話題を終了させた。 「あ、若先生、お疲れ様です」 机に突っ伏した途端に控え室のドアがスライドした。 美紀さんの声で直ぐに体勢を立て直す。 入ってきたのは今紹介のあった若先生とナースの藤原さん。 「おぅ」 無い事に若先生が椅子に座る。 藤原さんも隣に並んだ。
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