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「で、これが何」 唇が触れそうなくらい至近距離の度合いが増す。 いくら遅い時間だとはいっても、人通りはある訳で。 しかも若先生は大きいサイズの方だから目立つ訳で。 暫くの睨み合いの後、あたしは再度腕を引かれて拉致された。 ぐんぐん歩いて若先生のマンションの駐車場へ連れて行かれる。 少し歩くと手前の車のライトが2回瞬きをした。 若先生、車2台あるんだな。 どうでもいいような事を考えていると、助手席側で押され気味に解放された。 乗れ、という事なんだろう。 左側に座った若先生はシートベルトを閉めると直ぐに車を滑らせる。 どこへ行くのか、と聞かなくても、あっという間に目的地に着いて車が停まる。 この見知った場所は間違いなくあたしのアパートだ。 「荷物、取ってきて」 「は、荷物、ですか?」 突然の行動の意図を理解できずにいると、今日2回目の優しいフリをした若先生が現れた。 「わかんない? 泊まれる用意しておいで」 顔も口もちゃんと笑っているのに肝心の目はクスリとも緩んでなんかいない。
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