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7
急な動作の停止に、ついてゆけなかった。
「ぎっ!」
「蜜、お前は携帯持ってる意味、あんの?」
何故だかこんな時にものすごく優しい音を奏でるこの人。
そんなはずの人に繋がれた、いやいや拘束されている手に、ものスゴく力が入っているのはあたしの気のせいなのか。
「は?ケイタイ?」
「そ。それ、壊れてんの?」
今までに見た事ないくらいの微笑みも上乗せされて何のサービスなんだろうかと、背中がゾワゾワする。
「い、意味ありますよ…」
「そう」
あたしはゴクリと唾を飲み込んだ。
あまりにも爽やかに微笑む若先生を見た事がないのに加え、例え造られたソレでも目が離せなくなって、次がどうなるのか、思わず期待してしまう。
「じゃあ、てめぇちゃんと確認してんだろうな」
唇が触れるくらい、一気に間を詰められ。
今までに聞いた事のない、それはそれは怒りを孕んだ低い音。
一瞬、息を呑んでもまだたりないくらい。
そ、そ、そんな、恐い顔したってダメなんだから。
あんまり携帯見たくないし。
そ、そうだ!
「け、携帯見たく、ナイ…」
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