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救急車が到着して、詳細を話す、パパ先生が同行して行く事になった。 搬送先が見つからなかったが、一番近くのN大に、パパ先生が連絡をして運ぶ事に。 「じゃあ、涼、戸締まりして帰ってくれ」 パパ先生はそう言って、N大へ向かった。 「茂子さん、お疲れ様でした」 あたしは深々と頭を下げた。 「ううん、いいの、大変だったね、お疲れ様」 本来なら茂子さんはレセプトのみの勤務で、余計な事はしなくていいんだ。 こんな事はめったに無いにせよ、お手伝いをしてもらって世話をかけてしまった。 若先生も茂子さんに頭を下げた。 病院に戻りタイムカードを打つ。22:34の記録。 茂子さんが帰り際にあたしに尋ねた。 「折原さん、ひょっとして看護師さん?」 「え?」 あたしは肯定も否定もせずに微笑んだ。 「じゃあ、また来月ね」 茂子さんはそう言って帰って行った。 あたしは救急セットや荷物の片付けをして、控え室に入る。 着替え終わってペットボトルに手をかけた時、若先生が入ってきた。 「帰るぞ」 あたしは若先生の後に続いた。
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