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リビングを出る後ろ姿を見送って、ぷはぁ~、と脱力。 別に、恐い訳じゃないのに。 主従関係を結んだ訳でもない。 これが気質、っていうもんなんだ。 性(さが)っていうんだろうなぁ。 ぺたりとしゃがんだ床の上はほんのり暖かで。 床暖房って、いいなぁ。 また呑気にあさっての方向へ。 暫く緊張から解き放たれて、次に若先生が戻ってきた時には、彼は部屋着に着替えていた。 片手にはワインらしき瓶を一本。 「風呂、入ってくれば?」 「え」 「早くいってこいよ」 急に優しく微笑む若先生に頬をひと撫でされて、バスルームへ促される。 喉の下の方がクーっと熱くなってバスルームへ。 リビングを出る時に若先生を振り返れば、ソムリエナイフを上手に使ってワインの封を開ける姿が目に入った。 なんでも、できるんだなぁ。 容姿もそれなりで。 開業医で。 器用で。 ……そっち系だったけど。 その辺は今、どうなってるんだろうなぁ。 今日は、聞きたい事聞けるかなぁ。 広い浴槽にたっぷり張られたちょうど良い加減のお湯。 お風呂もキレイ。 誰がキープしてるんだろ、ホントに。 はー、と大きく息を吐いてゆっくりと肩までお湯に浸かった。
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