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玄関を開けた瞬間、い草の匂い。
いつもだけど、なんだか落ち着く。
次いでウェルカムライトが上から仄かな灯りを降らせた。
リビングへ続くドアからは、誰か居るのかと思わせ振りな光が漏れていて、思わず足元を見て靴の数を確認。
玄関はいつも綺麗にされていて、若先生の脱いだ靴だけがあった。
靴を脱いで部屋に上がるとそのまま腕を引かれ、リビングでも若先生の部屋でもない扉の中へ入って行く。
暗い中でも分かるこの匂い。
パウダールームと、続く浴室。
この前使ったいい香りのボディソープの匂いかな。
そういえば、2階にもシャワールームあったなぁ。
またどうでもいいような事を考えている。
鏡越しに若先生と視線が絡んで、慌てて外方を向く。
バスルームに電気が点いた。
と、いっても一番小さく絞られた灯りで。
ただそれだけの事なのにあたしの心臓は跳ね上がっていった。
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