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月末から月始めにかけて、残業が続くのは毎月の事で。 業務終了後に診療報酬の請求をひと月分、患者さん一人一人の保険組合に請求する為に、間違いや不正がないかをチェックするのだ。 受付で会計するのは大抵3割。 後の7割はその保険組合に出してもらう事になる。 「今日で終わりそうだね」 美紀さんがカルテを棚に戻しながら言う。 パパ先生と若先生に見てもらうレセプトも処理がもうすぐ済みそうだった。 「美紀さん、今日お先にどうぞ」 昨日と一昨日はあたしが先に帰らせてもらったから今日は美紀さんにあがってもらおう。 「あら、サンキュー じゃ、遠慮なく」 「はい、お疲れ様でした」 レセプトだけをお手伝いしてくれているレセプトのプロ、茂子(シゲコ)さんも爽やかに手を振った。 コツコツと処理をする事、小一時間。 処理が終わり大きく伸びをしたその時。 外で何かと何かがぶつかった音。 潰れたような、けたたましい機械音。 「何??」 「外ですね」 あたしと茂子さんは入り口を開けて外に出た。 冷たい空気が瞬時に肌を突き刺す。 夜の見通しが悪い中でもそれは顕著に見えた。
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