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「蜜!ライン取れ」 「え……」 「こっちにセットを」 あたしは、二輪車運転手の左腕にライン用の輸液をセットした。 茂子さんに輸液を持ってもらう。 ライン確保、は、そこから緊急の薬剤や輸液を入れる為に採っておく血管の確保の事。 輸液は人の体液と同じモノを使っているので害はなく、しかも、そこに薬剤を混ぜて点滴として落とす事もできる。 「折原くん、こっちも頼む」 パパ先生に言われて軽自動車の運転手にも輸液を落とした。 「これは抜けねぇな……」 「レスキューですかね」 体の一部を挟まれた場合、クラッシュ症候群が懸念されるが、今から考えても2時間以内には抜け出せる為、心配はいらないだろう。 乗用車の運転手はむち打ち症状がある、という事で首用のコルセット、ポリネックを支給した。 先生達の見立てたところ、二輪車運転手が頭を打っての意識障害の可能性が高いらしく、頻り(しきり)に瞳孔や反射の確認をしていた。
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