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「わ、若先生」
「あ?」
「カボチャ、おいしい」
「ん」
あ、れ。
「若先生!」
「ん?」
「大根の大きさがほぼおんなじですね」
「そ?」
ん??
「若先生」
「なに」
「今度は里芋食べたいなぁ」
「あぁ」
早くも飲み干したビールを流しに置き、冷蔵庫から2本目を取り出す。
なかなか本題に入れないのはどうしてだろう。
これを聞くと、あたしの事も話さなきゃならない?
そんな心配?
大した事ないなぁ、あたし。
「若先生……」
「あ゛??」
しつこいと、思われたんだろうか、そうだろうなぁ。
えへへと笑い、サクッと聞いてみた。
「若先生はあたしの器械出しも、知ってたんですか?」
並んで食べる動きは止まらずにいたが、周りの空気が止まるのを感じた。
しまった、かな?と、思った時には遅く。
横を見ると、悪魔の笑みでこちらを見た若先生。
「やっぱり、反省が必要だな 」
唇の端をあげてクッと笑う。
眼を細めた、いつもの顔。
何が、若先生の気に障るのか、さっぱり分からない。
向き直ってアジの開きを綺麗に食べるあなたに見とれてしまって、抵抗すらできない自分を思い浮かべていた。
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