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「蜜、行くか」 耳許でそっと囁かれてドクンと心臓が跳ね上がる。 大きく頷くと、そのまま手を引かれて歩き出した。 手、繋いでる? これって、繋いでる?? さっきラブラブさんを見た時の映像が甦ってきて、なんとも幸せな空気に包まれた。 見上げた若先生は普段と変わらぬ出で立ちで。 あたし一人がなんだか落ち着かないみたい。 それでも、やっぱり旅に出ると開放されるんだろうか。 いつもと違うオリエンタル溢れた空間だった事もある。 一山越えたであろう事もある。 そして何より、目の前のこの男に堕ちていた事。 気付けば口を開いて音を紡いでいた。 「涼先生、好きです」 不思議なくらい自然に出た言葉に、動揺や照れはなかった。 真っ直ぐに見上げたその人の横顔に見惚れていた。
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