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「わ、若先生、あたし
引っ越しました…」
ました?
引っ越した、らしい?
「あぁ、そう」
「!?」
顔色一つ変えずにサラリと言ってのける。
な、なんで?
そこ、落ち着いてるとこ?
あ、別に当事者じゃないからね、若先生は。
別にあたしがどこに住もうが特に関係ないってわけか。
「えっと、住所は…」
あ、住所からするとアパートの近くみたいだなぁ。
これは、あたしの通勤を考えての事かなぁ。
いやいや、お兄ちゃん実はもう住む所、決まってたんじゃ…。
「もう折原先生はそっちにいんの?」
やけに冷静すぎる若先生。
まぁ、動じないのはいつもの事だけどさ。
「あ、はい。
もう、今朝から引っ越し作業始まって昼過ぎに完了したみたいです」
でも、早すぎる。
住む家、やっぱり決まってたんだな。
一緒に住むつもりない、って言ってたけど、あたしが一緒でもいぃって言ったし、若先生も出てきたからきっと早々にあたしの荷物も動かしたんだ…。
絶対そうだ!!
確信。
そうだよね。
日本で働く事が決まってて、住むとこが無いなんておかしいし。
あたしの近くに住む事に決まってたに違いない。
予定通り、自分だけ住めばいいじゃない。
「そ。しっかし早ぇな」
ハンドルを握りながら呟く若先生は、やっぱり面白そうにしていて。
それが、なんだか腑に落ちない。
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