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窓の外に目を向けると、今日は休日という事もあり賑わう様子で溢れていた。
大きな紙袋
リボンの掛けられた包み
手を繋いで
腕を組んで
楽しそうに
幸せそうに
沢山の期待と、希望に溢れた笑顔と共にキラキラで輝いていた。
「人間だらけだな」
に、人間て……。
例えばここに怪獣が歩いてたらそっちのがおかしいし。
なんて夢の無い言い方なんだ。
ちょっと内心、注意してやろうか、とも考えてみたりしたが、どんな惨劇が待っているか予想できないのでここはひとつ大人の対応で。
「今日はイブですからねぇ」
薄い笑いを足しながら呟く。
「…なに、その冷めた笑い。
ケンカ打ってンの?」
前を見たままサラリと答える若先生。
いやいや、そんな。
滅相も御座いません。
ブンブンと大きく頭を振ってケンカの意志が無いことを明確に示す。
「そんな訳無いじゃないですか」
ポソリと付け加えて。
俯いた。
フ、と鼻から抜ける笑い。
大きく脈打った心臓から押し出された沢山の血がカァっと顔に集中する。
こんな時に夕べの事を思い出して、今までに無いくらいの勢いで動き出す心臓。
たぶん、走ってる時より早いんじゃないだろうか。
困る、こまる、コマル!
早く打つ、って事はそれだけ送り出される血液の量も増えるって事。
気になると、なるだけ赤くなるじゃない~。
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