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そうして、視線を前に戻してハンドルを握る若先生。 ドキドキと刻む心臓が痛い。 それほどまでに焦がれているのか、と改めて思う。 「また今晩な」 「え?」 いきなりそう言われて また、止まる心臓。 絶対そんな事はないのに、そう感じてしまうほど、このヒトに掴まれているんだ。 言われた意味を分からないフリをしながらも、心待にしていて 確約じゃないかもしれないけど、そんな事を聞かされて再び早めに動き出す心臓。 あたしの心臓、忙し過ぎ…。 それから、出来るだけ若先生の方は見ないようにした。 ホント、体に悪い気がして。 そんなふうに思うくらい、心身に異変を感じる。 どうした、あたし。 見慣れた景色が近付いて来る。 もうきっと新しい家も近いはず。引っ越したなんてまだ実感が湧かずにいるけど。 窓から通り過ぎる景色をただなんとなく見つめていた。
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