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車はいつものように地下の駐車場へ。 車体が近付くとシャッターが上がる。 いやいや、待て待て。 さっき新しいお家の住所告げましたよね。 そしたら、あなたもそっちでいいのか聞きましたよね? 携帯電話を取り出して時間を確認。 確かにまだ3時半。 ラブラブ?なカップルがお家に帰るには早すぎる時間かもしれない。 だけど、だけどもさ、 いくらなんでも尊敬?する折原先生を放っといて自分家に連れ込むのってどうよ。 ……いや、若先生には。 このヒトにはどうでもいい事なんだろうな。 「おい、先降りて。 それから折原先生に電話」 あ、そうだった。 若先生の駐車スペースは2台分。 あたしはいつも先に降ろされる。 今日は国産車だから左に停めた車にぶつかると嫌だしね。 何言われるか、…されるか分かんないし。 想像して身震いした。 車から降りて電話をする。 たった1回のコールの後で繋がったコレにも少し身震い。 「も」 「蜜、着いたか」 あたしの第一声も殆ど聞かずに兄の声。 「あ、着いた、っていうか…」 「吉川いる?ちょっと替わって」 は? あたしはハテナを背負いながら、車から出てくる若先生に携帯を渡す。 「なに」 何も言わずに押し付けた携帯に 眉間の皺がキリリと浮かび上がった若先生。 それでも退かずに携帯を渡そうとするあたし。 すぐに理解して、ああ、と呟きそれを受け取った。
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