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あたしの声に反応して読んでいたどこの文字とも分からない新聞を置いてこちらに顔を向けたのは、正しく兄、だった。 「おぉ~ぅ、みつ~」 全く大袈裟なリアクションであたしに向かってくるお兄ちゃん。 なに、これ? お兄ちゃんってこんなヒトだった?? ギュッとハグすると若先生に一言。 「変な事してないだろうな」 あ、呆れる…。 まさかのそんな恥ずかしい事聞くの? ホントにいい加減にしてほしい。 「変な事じゃなかったと思いますよ」 ぎゃっ! 何? 今なんて言った? 若先生も何訳分かんない事切り返してんのよ! 若先生の返しに一瞬体をピクリとさせたお兄ちゃんは、フフ、と鼻で嘲笑う。 「さ、行きますよ、蜜」 あたしの手首を掴んで引っ張り、向かった先はエレベーター。 もちろん若先生も着いてくる。 「ちょ、ちょっとお兄ちゃん、どこ行くの? 新しいお家に帰るんじゃないの?」 クク、と後ろで笑う若先生。 「帰りますよ、ここ。25階です」 お兄ちゃんは若干怒り気味に答える。 「え」 未だに理解力不足のあたしは目が点になるだけで、連れられるままにエレベーターに乗り込んだ。 「23階以上は部屋の鍵、差し込まないと行けませんからね!」 そう言ってカードキーを差し込む。 あぁ、前見た。 続いて若先生も差し込んだ。 25と28のランプが灯る。 「やだ、ホントにここに住むの」 「吉川より下、ってのが気にくわないけどな」 お兄ちゃんはそう言ってやっと笑った。
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