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あたしの部屋は玄関あがって左手側の2つ目の扉。 そこは驚くほど広かった。 今まで住んでいた所はキッチン3畳、リビング?6畳。 そして寝室4畳半。 この部屋は10畳だから、前のアパートの3分の2はあたしの部屋。 「こ、こんなに広くても何していいか、わかんない」 荷物は恐ろしいほど綺麗に片付けられていて。 今までは布団で寝ていたのに、今日からはベッドらしい。 部屋の中央に頭を壁よりに付けて備えられた少し大きめベッド。 そして、真向かいの壁に掛けられたこれまた少し大きめのテレビ。 「お兄ちゃん…張り切り過ぎでしょう」 もうここまで凄いと笑いしか出てこない。 リビングを出た時に渡された貴重品袋の中身を確かめてベッドサイドに置かれた棚のいつもの引き出しに仕舞い込んだ。 貴重品の管理も(まぁ、勝手にされたとはいえ)してくれるなんて、なんて気が回る。 「お兄ちゃん、彼女いないのかなぁ」 棚の上に置かれた今より若い兄の写真に問いかけてみる。 「もうすぐ50だけど……。 ま、さ、か、そっち??」 十分あり得ますからね! だって若先生がそうでしたから! そして、突然、後ろから声。 「アホか。そっちの気はないよ。安心しろ。 お兄ちゃんは女が好きだ!」 「やだ!いたの?」 苦笑いを浮かべながら振り返ると開けっぱなしのドアの向こうの壁にもたれて笑っている兄。 「お兄ちゃん、彼女いないの?」 あたしの問いに、ふ、と笑って答える。 「いるよ」
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