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あ、いるんだ。
と、思った。
ホッとしたのと同時に
ちょっとモヤッとした。
あれあれ、これが世に言うブラコンってやつですか。
お兄ちゃんのシスコンはなんだか創られたものぽくって、イマイチ真実味に欠けている気がした。
「そんな奇特なヒトがいるんだね、良かった」
これは本心。
だけどお兄ちゃんのこの大きな愛をあたしよりももっと沢山、違う形で受け取っているヒトがいるんだ。
なんだ、あたしはやっぱり小さい人間だな。
そんな事くらいで妬いたりして。
……。
だって、それは家族だから。
たった一人の家族だから。
でも、それは兄にしても同じな訳で。
そうか。
大事なヒトを取られたりするってこんな気持ちか…。
なんとも複雑な感じで、困る。
だけどちゃんと兄を愛してくれてるであろうヒトがいて、本当に良かった。
そう思うと、あたしの中でムクムク沸いてくる好奇心の芽。
「会いたい!
スッゴい興味あります」
「まぁ、そのうちな。
嫌でも向こうから来るよ」
ワハハハと笑ってまたリビングへ消えていく。
あの高らかな笑いはきっと照れ隠しなんだね。
案外可愛い所もあるんですね、兄。
そうして、あたしもリビングへ続いた。
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