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……最悪。 お兄ちゃん最悪。 やっと飲み始めて話も弾み出したと思ったら。 「もー、お兄ちゃん! ちょっとやめてよ!!」 一昨日飲んだ時はほとんど変わらなかったのに、何? この酒癖の悪さ。 「ってめー、よしかわ、 みつを手込めにしやがってー」 なんでこんなに酔っぱらってんの?? 「す、すいません若先生。 こんなに酔っ払いなんて事は無いはずなのに……」 あたしがこそりと耳打ちすると 「みつー!何やってんだ! 離れなさい、はなれなさーい! 子供出来たらどーすんだっ」 あたしを引っ張る兄。 この発言には若先生も苦笑い。 「お兄ちゃん、なにいきなり絡んでんのよっ」 「みぃ~つ~ぅ~」 抱きついてくるのはいいけど、お兄ちゃん、ホントにどうしたのさ!? 「ワイン、じゃね?」 若先生が不意に呟いた。 「わ、ワイン??」 「あぁ、多分葡萄酒一切にこうなるんじゃね?」 若先生が手土産に持ってきた、 いいワイン。 若先生は楽しそうに笑う。 「ちょうどいい。蜜、行くぞ」 あたしの手を握り、クッションを抱きながら既にスピスピ寝息を立てている兄の手からあたしの手を引いた。 が、ガッチリ捕まれたそれは緩まない。 「……なかなか離さねぇな」 「みつぅ…」 なんだか、ギャグのひとコマみたい…。 それにしても葡萄酒に対してのアレルギー的なもんなのか。 あたしの手を解くのに多少の時間は掛かったがなんとか兄から脱出して。 部屋から布団を持ち出してそっと掛けてから部屋を出た。
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