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昨日の夜も見たこの番号。
「お兄ちゃん……」
通話ボタンを仕方なく押す。
「ミツー!どこに居るんだー!」
やっぱり…。
「お兄ちゃん、うるさい。
出かけるって言ったじゃない」
「出かけるって言ったきりじゃないか!」
「明日帰るって言ったでしょ」
あたしは大きく溜め息をつく。
「明日ぁ~?
なんだ、泊まるのか、お泊まりって事か~!?!」
「…だから、何」
「今すぐに帰ってこーい!
泊まりだなんて許しませー…」
ピ。
あたしは通話を終了させた。
なにが理解あるオヤジだ。
あ、それは無理なんだっけか。
それにしても、これはウザイ。
ウザすぎる。
これじゃあ高校生並じゃない。
あたしもう遥か以前に成人したっちゅーの。
「折原先生?」
若先生は再び車をスタートさせる。
「はぁ、すいませんお騒がせしました。」
「折原先生ってそんなキャラだったんだな」
そう言って若先生は笑った。
「さぁ、あたしも分かんなくて。こんなウザかったかなぁ」
「手強そうだな」
まだしつこく唸り続ける携帯の電源を落としてかばんの中に放り込んだ。
一緒に住む、って言ったの早まったかなぁ。
そう考えてみたがきっとこうなったら取り消しは効かないだろうなぁ。
そんな思いを乗せて車は走り続けた。
明日、とんでもない事になるとも知らずに…。
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