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アパートを出てから約2時間。 到着したのは箱根、宮ノ下温泉。 とある旅館の駐車場に車を滑らせた頃には辺りはもう真っ暗。 そりゃそうだよね。 東京を出たのは夕方4時。 その頃でさえ夕焼け満開だったもの。 そして。 なんだこの旅館。 そりゃ、あんなタワーマンションのペントハウスに住んでる方だから、その辺の民宿みたいな所じゃないとは思ってたけど。 一生にそう何度も泊まれないような感じだわ。 ここは箱根随一の人気旅館だそう。 畳敷きの清潔感漂うロビーをはじめ、館内至る所全て、粋な佇まい。 '和'をベースにオリエンタルな様子もどこか若先生の部屋と似通っている。 若先生、きっとこういう雰囲気、大好きなんだろうなぁ。 支配人と女将さんらしき女性、何人かの仲居さんがわざわざお出迎えしてくれるあたり、やっぱり吉川様って感じ……。 案の定、「吉川様、お久しぶり」なんてお出迎えされちゃって。 そんなに常連なのか。 案内された部屋は。 もう何が起こっても驚かないゾ、と高を括っていましたが。 これが、俗に言う露天風呂付き客室。 「ごゆっくりなさいませ」 一通りのご挨拶や持て成しが済んだのか女将さん達は部屋から出て行った。 改めて見る部屋に ただただ驚嘆。
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