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12畳の和室の奥はダイニング。更に奥に内湯と、広いテラスに露天風呂。 どこかエキゾチックな雰囲気も併せ持っていて、なんだかそれだけで興奮する。 「あの…」 「なに」 和室なのに、異国情緒満載で しかも若先生にピタリと当てはまっていて なんだか、なんだか ヤバい。 「何か不都合でも?折原さん」 ここに来てナゼ折原さん? 「いえ、なんでも…」 どこか落ち着かない。 あたしだけ、きっと。 「飯、7時からにしたから」 「あ、そですか。」 そこでピン、と思い付く。 「あ、じゃあ!お風呂。 入って来ていいですか?」 「風呂なら部屋にあんだろ」 「いやいや、湯処の露天に決まってるじゃないですか!」 あたしは鞄から温泉セットを取り出した。 「なにソレ」 「ザ・温泉セットです」 「は」 「とにかく、7時には戻りますから!」 温泉に来たなら満喫しなきゃ。 全部のお風呂に入れるだけ入りたい! そう思うのは貧乏性な一般都民だからでしょうか。 んはは。 あたしは部屋に用意された浴衣とマイ温泉セットを持って部屋を出た。 扉を閉めてホッと一息。 あんなとこで二人っきりだなんて、心臓いくつあっても足りないわ…。 無駄に色気醸すのとか、やめて頂きたいもんよね。 ドクドクと大量の血液を送り出す心臓の鼓動と同じくらいの速さで湯処に向かう自分のスピードに少しおかしくなった。
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