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あったまり過ぎちゃった。
浴衣を羽織り、帯をまく。
そこで少し手を止めた。
おび…。
お湯に浸かりドキドキと刻むリズムに少し異質なドキドキが同じくリズムを刻む。
ゴクリと唾を呑み込んで動揺も一緒に喉の奥へ。
こんな興奮を煽るような場所へ来て、そういう事にならない訳がない。
だってここ最近は、若先生も忙しくてあんまりゆっくりしてないし。
いやいや、してないっていうのはシテないじゃなくて。
って、別にそういう事じゃなくて。
あ、そんな言い訳誰に言ってるわけさ。
いらない、いらない。
火照った体と顔が
いつもとは違う自分に見えて
そう映る鏡を見ながら、やっぱりどこか期待をしてやまないあたしが居る。
唇を噛んで下を向き、慌てて着替えて部屋に向かった。
途中で手をしっかり繋いで体を寄せ合うラブラブさんを見かけて、恥ずかしくなって外方を向く。
すれ違ってから自分の手を見て、そう言えば、拉致されたり連行されたりする事は多々あったけど
手を繋いで、っていうの?
無いなぁ。
部屋の前に着いて、煩悩を払ってからドアを開けた。
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