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明日、あたしはある病院にオペの見学に行くらしい。
執刀医は若先生。
体が震えた。
オペなんて暫く見てない。
それに対する少しの不安と
まだ見た事のない若先生のオペへの期待。
「じゃ、明日楽しんで来てくださいね」
パパ先生に挨拶をして控え室に入ると、もう誰もいなくて。
時計を見るとあれから30分も経っている事を示していた。
「そりゃ、帰るわな」
1人呟いて更衣室へ。
「オペか…」
最後のオペは山下先生だったなぁ。
いつだったか、凄いドクターもいたなぁ。
あの先生、誰だっけ。
なんで名前知らなかったんだろう。
大抵、執刀医と前立ちのドクターの名前は分かってなきゃいけないんだけどなぁ。
しかもあんな見事な手技のドクター、N大では見た事無かったし。
そこまで考えた時、控え室の扉が開く。
そして迷う事無く近付く足音は更衣室へ。
目の前にいるそのヒトを無言で見つめて。
眼が合った瞬間に唇が重なった。
ドキドキする暇もなくて
早急に足りなくなる酸素に
目眩を感じる。
喉元から這い上がってくるしなやかな指が
合わせられた唇の隙間から入り込んで来て
暖かな舌を招き入れる導線になった。
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