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そうでした。
おんなじマンションに帰るんでしたね。
まだ慣れないせいか、タワーマンションの地下に吸い込まれて行きながら、
どうしてアパートに先に行かないんだろ。
なんて、思ってしまったわけで。
地下の駐車場は冷たくて
車から降りて吐く息が白くて少しビックリ。
そういえば、お兄ちゃんも車、乗ってたし。
きっと兄の事だから買ったんだろうけど。
マンションの事にしてもそうだけど、医者ってそんなに儲かるのか。
……さっぱりナゾ。
若先生もナゾだらけだけど、お兄ちゃんもナゾだ。
「置いてくぞ」
佇むあたしを残して、先へと歩いている若先生を小走りで追いかけた。
「あのっ、どこ行くんですか?」
「名古屋」
「名古屋…、センターですか」
名古屋と聞いて
MVRに強い施設で思い当たるのがセンターだった。
「そう」
「そうですか」
センターは心臓を主とする循環器専門の病院で、勿論そのスペシャリストが沢山集まっている。
若先生は15時に1階ロビーで待ち合わせと告げてそのまま28階へ昇っていった。
「なんだかんだで後1時間しかないじゃない」
慌てて部屋に入り2泊分の着替えやら、ちょっとしたスーツやらを用意はしてみたが。
あたし、女子なのにこんなに荷物少なくていいのかなぁ。
そうは言っても後は何も入れる物はなくて。
待ち合わせ迄はまだ少し早かったが下に降りる事にした。
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