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新幹線の中で遅い遅い昼食変わりのおやつを軽く摂った後。
今朝、早起きという事もあってか、瞬時に眠りについてしまった約1時間半。
目覚めたら、もう5分で名古屋に到着の場面でした。
「ヨダレ垂らしてんなよ」
意地悪そうに言った若先生。
ホントかウソか分からなかったが、まぁ垂れていても不思議じゃなかった。
と、思う。
名古屋駅目の前のホテルにチェックインを済ませて、一応首を傾げて考えてみた。
……若先生とおんなじお部屋なんですけど。
荷物の中からスーツを取り出してクローゼットに吊る。
さっき新幹線の中でおやつを食べた時に、確かホテルは病院側が押さえてくれた、と言ってたような。
「あ、の」
窓際のソファに腰かけて新聞を読む若先生に問いかける。
「一緒のお部屋でいいんですか」
「何か問題でも?」
「や、病院側が用意した、って言ってたから……」
読んでいた新聞をパサリとテーブルに置いてこちらに向いた視線。
「2部屋取ったらもったいねぇだろ」
「…」
血が爆発的に顔に集中してくるのが手に取るように分かる。
飄々とした物言いが
乾きかけた疼きにストップをかけた。
「どうせ1つしか使わないんだから」
昼間、ばら蒔かれた柵が
ぎゅうぎゅうと音を立てて
纏わりついていく。
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