11

2/38
前へ
/38ページ
次へ
この辺りが地元の美紀さんは自転車を病院に取りに戻る為、あたし達はお店の前で別れた。 思いの外、酔っ払っていた事もあって、自転車に乗らずに押して帰りなさいと念を押す。 嫁入り前なんだから、何かあったらあたしが責任感じます、と若干しつこく言ったので大丈夫だろうと思う。 そしてあたしはこのまま駅前へ。 お昼から飲むお酒って、どうしてこんなに酔っ払いに仕上がるんだろう…。 つい昨日まではサンタで溢れた街並みも、今日にはすっかり模様替えも済んでいて、門松、しめ縄、来年の干支達があちらこちらに見受けられた。 「もうすぐ終わりかぁ」 呟いて見上げた空は薄い雲のかかった、寒い日独特の空模様。 太陽の力も弱められてひんやりとした空気が足元から上がってくる。 さむっ。 明日、走りに行こう。 酔っ払いは考える事に脈絡がなくて困る。 足早に改札を抜けてホームで発車直前の電車になんとか滑り込み、空いた席に座る。 いつもはめったに座らないたった2駅の距離。 今日はここ数日の超のつく寝不足と昼間の刺激的な女子会のお陰でこんなに近い距離も立っていられなかった。 「ふー」 これだから酔っ払いは困る。 「昼間っからだらしないんじゃない?」 パッと顔を上げて言葉に詰まった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2286人が本棚に入れています
本棚に追加