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つい最近まで男性にしか興味が無かったんだから当たり前だろうなぁ、と思いながらあたしも苦笑い。
そして歩く事、数分。
オペ室のちょうど上、よくドラマで見るような上からオペが見学できるようになっているガラス張りの室内に通されて、何やらIDカードを首から提げられた。
「オペ開始は13時半です。
それまででしたら館内を見て回って頂いても結構です、但しこのカードは必ず携帯を」
そう言ってホルダーのブルーの紐を首の辺りからスッとなぞる。
その指が今度は頸動脈を軽く撫でて離れていった。
「痣、ですか?それとも?」
あっ、と気付いて。
表情に驚きは出さずに答える。
「傷、なんです。
さっき、吉川先生にも間違えられました。」
あたしはそんな嘘を笑って続ける。
「目立ちますか?
でも、どうしようもなくて」
この大森ドクター、危険かも。
「いえ、目立ちはしないですが」
一度目を伏せた大森ドクターはまた口を開いた。
「綺麗な女性の首筋には、視線が集まるのが普通ですので。
すいません、気になさらないで下さい」
そう言って、では後程、とブースを出て行った。
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