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「ま、松本さん!」 綺麗な顔に似合わずニヤリと笑う。 妖艶で、他の女の人はきっとドキっとしちゃうんだろうな、なんて呑気に考えていると。 「いい歳した女がお酒でどうにかなってるなんて可哀想」 もう、あたしに正体がバレたので取り繕う必要もなく余裕綽々で毒を吐く。 「今日は特別なんです、 えと、お祝いで」 「そんな事は知ったこっちゃないけどね」 どことなくツンと澄ましたこの男性。 色々意地悪されたけど、何故か嫌いではなかった。 「どこかお出かけですか」 冷静に言ったつもりでもやっぱり酔っ払いは酔っ払いで。 「あ、やっぱヤメ。 聞くのナシに、します」 ヘラヘラと笑うあたしが気に食わなかったのか、松本さんの目付きがキッと鋭くなった。 …ような気がする。 でも、そんな事よりも何よりも 襲いかかってくる睡魔にどう対抗すればいいのか。 ――為す術もなく次の瞬間を待たずに眠りに誘われていた。 微睡みの中、名前を呼ばれて ゆらゆらと揺れる。 その後は真っ直ぐ 眠りの深いところまで落ちていった。
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