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ふふ、と笑って下を覗くとちょうどこちらを見上げた若先生と目が合った。 マスクに隠れた顔は きっといつものように笑っている事を容易に想像させる。 細められた眼がこちらを見据えている。 ただそれだけで身体を震わせた。 オペの興奮と非日常的な事象による心身の興奮は、なんとなく似てるような気がする。 あたしは乾いた苦笑いを張り付けながら、オペ室を出て行く若先生を見送った。 「ふぅん、なるほどね」 意味深な発言をした山下先生に、なんだか不穏な気配を感じて振り返る。 案の定ニヤニヤした笑いをこちらに送ってきている。 「なにが、なるほどなんですか」 「えー、いやいや吉川君もあんな顔するんだ、と思って」 イヒヒと歯を見せて笑う姿はまるでイタズラをしてほくそ笑む子供のようだった。 「ほら、吉川君て、誰にも靡かないから。 だけど、折原の事はあんな目で見たりするんだなぁと」 きゃっきゃ、と効果音が弾けてきそうなくらい楽しげな様子を見てあたしは少したじろいだ。
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