11

9/38
前へ
/38ページ
次へ
朝、こんなに余裕があるといい。 何をするにしても気持ちもゆったりしている。 コーヒーを飲む。 パンを焼く。 毎朝おんなじ事をしてるのに 気持ちの持ちよう一つで感じ方もこんなに違う。 こういうのがきっと 早起きは三文の徳、なんだと思った。 早速、朝の冴えた頭を活かして。 分厚い医学書を手に取る。 MVRのページを熟読する。 ナースという仕事を辞めてから約4年。 自分なりには勉強は進めてきたつもり。 大好きだった、…きっと今も大好きな仕事だと思うから、色んな症例を読んでは想像して。 だけど、昔から 習うより慣れろ、と言うように現場で実際に得たものには敵わない。 若先生はあたしにナースに戻らないかと言った。 それはとても魅力的で。 十分惹かれるのは事実。 しかもT大でオペ看なんて、きっと舞い上がっちゃうなぁ。 グンとエンジンがかかってやる気が出てきてしまう。 夢中で読みはじめて気付いた時にはいつものお出掛け時刻を少しまわった所だった。 仕事納めに遅刻するわけにはいかない! 慌てて部屋を飛び出して、勢いそのままにマンションの外へ。 駅までの道のりを駆け抜けて行った。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2286人が本棚に入れています
本棚に追加