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「大森先生やーらしー」 きゃあきゃあ騒ぐ器械出しナースさんの隣でシレっとグラスをあおる若先生。 グラスが空になるとすぐに反対隣の外回りナースさんが御代わりアルコールを注ぐ。 見ればもう、前の3人は白ワインへと進んでいるらしい。 大森先生も特に何も言わずに目の前のカルパッチョを摘まんでいた。 「すいません、品が無くて」 大森先生はこちらを見ずにそう言うと、また烏龍茶を口に運んだ。 「いえ」 この大森という男、なかなかの曲者っぽい。 何がしたいかさっぱり分かんない。 いや、分かんなくてもいいんだけども。 それにしたって器械出しナースさん。 若先生にベッタリなんですけど…。 一度は見たものの、それ以上は勇気が無くて再度視線を向ける事は出来なかった。 「えーすごーぃ」 「吉川先生素敵」 「ホントですかぁ」 若先生の両隣に陣取るナースさんはどうやら相当若先生を気に入っているらしく、ちょっと態とらしいくらいのリアクションで若先生をもてなしている。 まぁ、ここでヤキモキしても始まらない。 あんな事くらいでは若先生はどうにも動かないだろうから気にならない、訳では無いけど、 気にしても仕方ない。 そう思う事にして、グラスを取ってシャンパンを流し込んだ。 「おいしー」 「折原、やっぱあんたと飲むと楽しいわ。思い出すねぇ」 山下先生はホント、アルコールがはいるとロクな事を言わない。 これも、昔っからだ。
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