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「あ、そういえばあんな事もあったじゃない!あははは!」
グラス片手に昔、昔の昔話を波風立てて、更に尾びれも付けて話しまくる山下先生。
「嘘、嘘ですよ。
酔っぱらいの戯言ですから。
だいたいそんな訳ないじゃないですか」
「きゃー、折原さんかわい」
「そんなキャラだったんですか」
あぁ、頭が痛い。
た、確かに沢山のネタになるような事はしてきたけど、山下先生の話は全く言いがかり…(一部)だし、根も葉も無い(全く無い訳じゃ無いけど)ものばっかりだし。
もう一人の外回りナースさんはあたしに友好的で、山下先生と大森先生を交えて楽しそう。
「あ、折原さんて、凄いナースだって聞きました。
意外な一面もあるんですねー」
不意に外回りナース②さんが話題をすり替えてあたしは飲んでいたモヒートにむせそうになった。
「あ、の。
あたしはそんなんじゃないですし、しかも今はナースしてませんし、それは嘘ですから!」
「え、そうなんだ。
でも、山下先生が絶賛してますよ」
あたしはギロリと山下先生を睨む。
「やだ、恐い、折原」
ケラケラ笑いながらワインを水のように飲む姿はまさにオヤジの様。
お父さん、とでも呼びたい気持ちになる。
「でも、ホント。折原は凄いのよ。あたしのオペの時はいつも完璧だった」
ポンと山下先生に肩を叩かれて。置かれた手から熱が伝わってくる。
「そして、」
そう続けて、あたしをそのまま抱き寄せると
「意外にきょにゅー」
キャー、と笑いながら胸をまさぐる。
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