13

4/39
前へ
/39ページ
次へ
相変わらず綺麗な部屋。 誰も入れてないとしたら この目の前の男がいつも キープしているんだろうか だとしたら。 非の打ち所が無い とは、まさにこの事。 性格に若干難有り、とか 実は男が好きでした、とか そんなのは黙っていれば分からない。 掃除の行き届いた隅々までを見ながらそう思って。 テーブルに置かれたコーヒー。 「で、なんで帰れないわけ」 隣に座る若先生にゴクリと唾を飲んだ。 「はぁ、いや、ソッとしとこう、って言うか。 様子を見よう、って言うか……」 「あぁ、女が居たんだ」 「…えへ」 こんな曖昧な受け答えじゃ 肯定具合も極まりない。 「…なに、お兄ちゃんのセックスに遭遇しちゃったの? 折原さん」 「は?してません」 すぐさま否定。 強ち(あながち)違うとも言い切れないけど…。 突然何を言い出すんだ! ほんっとにこのオトコ、なんて言うかエロい! 「ふーん」 さも興味無さげに相槌を打って その唇であたしの耳たぶに触れた。 「ひゃっ!」 「じゃ、お兄ちゃんも解禁したっていう事でオレらも問題なくなったな」 囁かれた音の低さと 反比例するキラキラの笑顔 でも眼の奥は妖しい光でいっぱいで それでも離せない。 「な、何がですか」 そう聞いてみると、返ってきたセリフは想像できるもので。 唇の端が僅かにあがり 眼が細められる 次のセリフは重ねられる直前に。 「体液交換」 あたしの口腔に滑り込んだ。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2373人が本棚に入れています
本棚に追加